岩村層群(Iwamura Group)

 岐阜県恵那郡岩村町,山岡町および中津川市阿木周辺に分布する中新統。岩村層群は,下位の阿木累層と上位の遠山累層から構成されている。両者は不整合関係であり,それぞれ非海成から海成へと海進を示すシーケンスである。阿木累層は,氏原ほか(1992)では,下位の非海成層からなる藤上部層と,上位の海成層および非海成層からなる野田部層に区分されていたが,丸山(1998MS)は,阿木累層中の海成層を野田シルト岩部層,その上位の非海成層の一部を遠山層の最下部層とし,その基底面を不整合面(シーケンス境界)とした。阿木累層下部は,層厚20〜300m以上と大幅に変化する。岩相は,大きく二分される。下部は,円磨度の高い中礫〜巨礫からなる礫岩層である。上部は,砂質および泥質凝灰岩と凝灰質砂岩および泥岩からなる。部分的に径5〜10cm以上の軽石が密集し,火砕流堆積物のような岩相を示すこともある。野田シルト岩部層は,層厚16m以上で,灰褐〜暗灰色を示す凝灰質シルト岩,シルト質砂岩および細粒砂岩からなり,阿木累層最上部は,青灰〜明灰色を示す塊状の浮石質細粒凝灰岩からなる。遠山累層は,最下部層以外は海成層からなる。海成層は,下位より緑が丘砂岩部層,牧シルト岩部層,両伝寺互層部層に区分される。遠山累層最下部層は,層厚12〜21mで,青灰〜明灰色を示すシルト質〜砂質凝灰岩および中粒凝灰岩が優勢な,凝灰質砂質シルト岩〜細粒砂岩,細礫岩および泥炭層との互層からなる。緑が丘砂岩部層は,層厚3〜10mで,主に暗灰色を示す塊状の浮石質細粒砂岩からなる。牧シルト岩部層は,層厚20〜65mで,主に灰〜暗灰色を示す塊状の凝灰質砂質シルト岩〜シルト質砂岩からなり,多くの凝灰岩層を挟む。両伝寺互層部層は,層厚130m以上で,灰〜暗灰色を示す凝灰質砂質シルト岩〜シルト質砂岩,浮石質砂岩,凝灰岩の互層からなる。

岩村層群阿木累層(山岡町馬場山田)

岩村層群遠山累層(山岡町馬場山田)

岩村層群層序表(氏原ほか,1992より編集)


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