富草層群(Tomikusa Group)

 長野県阿南町,下條村,泰阜村,天竜村および飯田市千代周辺に分布する中新統。富草層群は,下位より,和知野累層,温田累層,大下条累層,新木田累層,粟野累層から構成される(氏原ほか,1988)。和知野累層は,層厚80〜150m以上で,主に不淘汰な礫岩からなる。温田累層は,層厚40〜100mで,岩相は主に灰色を示す塊状の中〜粗粒砂岩である。数枚の凝灰岩層および亜炭層を挟む。最下部は,層厚約20mの青灰色を示す凝灰質な細粒砂岩になる。また,最上部は,層厚約10mの青灰色を示す凝灰質細粒砂岩と青灰〜灰色を示す凝灰質泥岩になる。大下条累層は,層厚45〜75mで,岩相は主に灰色を示す塊状の中粒砂岩である。数枚の泥岩および凝灰岩を挟む。本層の中位層準から,海棲動物の化石が見られるようになる。新木田累層は,層厚60〜110mで,下部と上部に分けられる。下部は,主に灰色を示す塊状の泥岩からなり,数枚の凝灰岩層を挟む。上部はさらに,主に灰色を示す中〜粗粒の浮石質砂岩からなる下半部と,主に灰色を示す凝灰質泥岩からなる上半部に分けられる。下半部の浮石質砂岩は,風化面ではやや緑色を帯び,”布袋腹状”を呈する。上半部の凝灰質泥岩は,数枚の凝灰岩層を挟む。粟野累層は,層厚40〜90m以上で,下部と上部に分けられる。下部は,主に灰色を示す中〜粗粒の浮石質砂岩からなる。上部は,浮石質砂岩と灰白色を示す凝灰質泥岩が優勢な互層からなり,数枚の凝灰岩層を挟む。

富草層群和知野累層の
巨礫岩と基盤の花崗岩の不整合
(泰阜村我科万古川・天竜川合流点付近)

富草層群新木田累層下部の
泥岩と上部の凝灰質砂岩の境界
(阿南町富草付近)

富草層群層序表(氏原ほか,1988より編集)


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